新年に向け心身をリセット、「冬至」にかぼちゃを食べる理由とは

健康

すっかり寒い季節になりました。寒い時に食べたいものと言えばラーメンや鍋料理、温かいシチューなど体を温めてくれる料理が浮かびますね。

しかし日本古来の伝統料理で言えば、「冬至の日にかぼちゃを食べる」という伝統があります。なぜかぼちゃなのか、そもそも冬至って何なのか、詳しく考えたことはありますか?今回は冬至とかぼちゃについての関係や、かぼちゃ料理のコツについてまとめてみました。

1.そもそも冬至とは何か?

冬至のことを詳しく説明できる人は少ないかもしれません。漠然と「寒い日」といったイメージはあるものの、何月何日で、その由来は何かと聞かれると難しい人が多いのではないでしょうか。

冬至とは一年の中で太陽が最も南に寄る日であり、昼間の時間が最も短い日とされています。暦のうえでは毎年12月22日ごろを指し、2017年の冬至もこの日に当たります。

1-1.実は縁起の良い日!

あまり知られていませんが、冬至はアジア圏において「一陽来復(いちようらいふく)」と言われており、一年の中で運が上昇する日と言われています。昼間の時間が最も短い日なのでイメージ的には暗い印象があるのですが、この日を境に太陽の力がどんどん上昇していくという意味があります。そのため中国などではお正月同様に大切な日とされ、餃子を食べて祝う日になっています。

また12月25日と言えばクリスマスですが、西暦が誕生した12月25日は冬至に当たったともされています。キリストの誕生に関しては諸説ありますが、この冬至に合わせてクリスマスを祝うようになったとも言われています。

1-2.冬至には「ん」のつくものを食べると良い

そんな縁起の良い日である冬至ですが、冬至には「ん」のつくものを食べると「運」が上がると言われています。だいこん、れんこん、ニンジン、キンカンなど。「ん」のつく食材をたくさん食べることにより「運が上がる」と言われ、日本では江戸時代から縁起を担いできました。

しかし「かぼちゃ」は「ん」がありません。ただかぼちゃを漢字で書くと「南瓜(なんきん)」と読み、文字通り運の上がる食材になります。かぼちゃは冬至前にたくさん収穫できる野菜ですから、冬至の日に合わせて縁起の良い食べ物として重宝されてきました。

2.冬至にかぼちゃを食べるのはなぜか

冬至にかぼちゃを食べる由来として、先ほど紹介したように「運が上がる」という縁起から「なんきん」であるかぼちゃが食べられるようになりました。しかし栄養学的にみても、寒い冬至にかぼちゃを食べるということは理にかなっているのです。

2-1.冬至にかぼちゃを食べるのには意味があった

かぼちゃは野菜の中でも長期保存が可能な野菜です。現代ほど食べ物がなかった江戸時代、寒い冬の時期を乗り切る食べ物としてかぼちゃはとても重宝されました。しかもかぼちゃは長期に渡って保存されたものの方が熟しており、甘みも増します。秋の終わりに収穫されたかぼちゃを冬至に食べることは、栄養がしっかりと蓄えられた状態のかぼちゃを食べることにもなります。そのような経験から昔の人は冬至にかぼちゃを食べる風習をつけていきました。

またかぼちゃはビタミンAをはじめとしたビタミン類、そしてカロチンが豊富に含まれています、これらは冬に流行る風邪予防や、脳血管疾患の対策にもなります。冬至にかぼちゃを食べることは人々の健康にとってとてもメリットが高いのです。

2-2.冬至はかぼちゃ以外の食べ物も人気

冬至に食べるものと言えばかぼちゃですが、地域によってはかぼちゃ以外に食べるものもあります。

・冬至粥(とうじがゆ)

冬至の行事食として小豆を使った「冬至粥」があります。小豆には昔から邪気を払うという言い伝えがあり、小豆とかぼちゃを入れて煮込んだおかゆを食べる地域もあります。

・いとこ煮

こちらも小豆を使った料理ですが、小豆とかぼちゃの煮物と言えばイメージが湧くと思います。硬いかぼちゃと小豆をおいおいと入れ、めいめい炊き込むことから「甥」と「姪」で「いとこ煮」と名付けられました。

・こんにゃくを食べる地域も

こんにゃくを冬至に食べ、「砂おろし」と名付けられた伝統もあります。こんにゃくは腸内環境を改善することから「腸の砂おろし」と言われており、年末に体内の掃除もするという意味合いも込められています。

2-3.柚湯の意味は?

冬至と言えば「柚子湯(ゆずゆ)」に入ることも有名です。体の芯から温まる柚子湯は、まさに冷え込む冬至の日にピッタリです。

柚子湯の由来は諸説あるものの、厄払いの儀式という意味合いが多いようです。柚子は香りの強いものであり、邪気を払うとされてきました。また柚子は実るまで長い年月がかかるため、長年の苦労を実らせてくれるという意味も込められています。もちろん入浴することで血行を良くし、冷え性緩和やリラックス効果もあります。昔の人が続けてきた冬至の伝統行事は、冬至の時期の冷えた身体をしっかりとサポートしてくれる知恵があります。

3.定番のかぼちゃの煮つけ、作り方のコツは

最後に冬至に食べるかぼちゃ料理と言えば、一番多いのが「かぼちゃの煮つけ」ではないでしょうか。しかしかぼちゃの煮物は簡単に作れるようで、意外と味付けが難しかったり煮崩れを起こしてしまったりします。ちょっとしたコツを知っていれば煮つけも簡単にできるので、冬至にぜひ挑戦してみてください。

3-1.かぼちゃの面取りをしよう

「面取り」とは切ったかぼちゃの角面を包丁で優しく剥き、側面をなだらかにする方法です。かぼちゃだけでなく、大根やニンジンといった根菜の煮物でも行うことが多いですね。

かぼちゃの煮物の際はぜひひと手間をかけてこの面取りを行いましょう。それによりかぼちゃの実と皮が剥がれることを防ぎ、煮崩れの防止になります。また面取りをすることにより煮汁に触れる面積が増えるため、味がよりしみ込みやすくなります。

3-2.砂糖が最初、塩が後なのはなぜ?

かぼちゃの煮物だけでなく、多くの料理は「さしすせそ」の順番で調味料を入れた方が良いと聞きます。「さ」は砂糖、続いて塩、酢、醤油、味噌の順番です。この順番だとまずは甘いものから投入し、最後に塩気があるものになります。

実は「砂糖」は食材に味が染み込むまで時間が掛かる調味料なのです。そのため先に塩を入れてしまうと食材に塩気が浸透し、のちに砂糖を入れても味がなじまずしょっぱい料理になってしまいます。かぼちゃの煮物においても、まずはかぼちゃを一煮立ちさせ、その後砂糖を加えてから徐々に調味料を増やして行った方が良いでしょう。

3-3.調理をスピーディーに!電子レンジも可

かぼちゃ料理のデメリットとして、「かぼちゃが固くてなかなか切れない」ということがあります。そんな時は包丁を入れる前に、電子レンジでかぼちゃをチンしましょう。少しチンするだけでも生の状態のかぼちゃよりだいぶ切りやすくなります。丸ごと1つのかぼちゃでも、2~3分レンジにかけるだけでとっても切りやすくなります。残ったかぼちゃは小分けにカットし、冷凍しておくと後の調理にも便利です。

また電子レンジでかぼちゃの煮物もできます。小分けにしたかぼちゃを耐熱皿に入れ、麺つゆと砂糖を加えた出汁をひたひたに入れましょう。かぼちゃが柔らかくなるまで3~5分ほどレンジにかけ、味が染み込むように放置すれば即席のかぼちゃ煮込みが完成です。

まとめ

冬至は太陽の角度が傾き、日がもっとも短くなる日です。冬至を迎えるころには本格的な寒さが日本を襲い、心身共に縮こまってしまうこともあるでしょう。しかし冬至に栄養価の高いかぼちゃを食べることで体を温め、新たな気持ちで新年を迎えられるよう昔の人は知恵を絞ってきました。最近では何かと欧米文化の方が流行っている気もしますが、今年の冬至はぜひ日本古来の食文化であるかぼちゃを食べ、気持ちと体のスイッチを切りかえてみてはいかがでしょうか。

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