みなさんは「しゃくし菜漬け」という漬物をご存知でしょうか。しゃくし菜漬けは、見た目は野沢菜のように見えますが、味はもう少したんぱくで、とても食べやすい漬物です。しゃくし菜漬けは、埼玉県秩父地方で作られている漬物です。まだ知名度は少ないかもしれませんが、生産量も徐々にアップし、いろいろな料理にアレンジできる漬物として注目されています。今回は、このしゃくし菜漬けについて詳しく紹介します。
1.しゃくし菜漬けとは
しゃくし菜漬けは、埼玉県発祥の美味しい漬物です。見た目は野沢菜や高菜漬けに似ていますが、野沢菜よりも味はさっぱりしていて、見た目の色も薄いのが特徴です。
1-1.埼玉県秩父地方の伝統的な漬物
しゃくし菜漬けは、埼玉県秩父地方の伝統的な漬物です。秩父はもともと寒さに厳しい場所であり、その生育環境に適した野菜がしゃくし菜でした。昔から保存食として重宝されており、大きな樽に塩で漬け込んだのが発祥といわれています。
また、しゃくし菜漬けは、それぞれの家庭で好きなように漬けこまれているのも特徴です。鷹の爪を多めに入れて辛みを利かせたものや、みりんや醤油で甘辛く味付けされたものもあります。今ではさまざまな味付けのしゃくし菜漬けが売られており、値段も安価なことが多いため、手軽に楽しめる漬物として人気があります。
参照https://style.nikkei.com/article/DGXKZO09812020S6A121C1NZ1P01/
1-2.「しゃくし菜」とは
そもそも、しゃくし菜漬けに使われている「しゃくし菜」とはどのような野菜なのでしょうか。しゃくし菜の正式名称は「雪白体菜(せっぱくたいさい)」という名前です。実はこの他にもたくさんの呼び名はあるのですが、しゃくし菜という名称は「しゃもじに似ている」ということが由来のようです。
しゃくし菜は、漬物にするだけでなく、普通の葉野菜のように調理することが可能です。特に、油炒めとして一品にするのが最もスタンダードなレシピでしょう。ただ、漬物にすることで歯切れが良くなり、乳酸発酵のすすみも良いことから、しゃくし菜は漬物にして食べるのがもっとも美味しいともいわれています。
参照情報 https://www.shakushina.com/?mode=f1
1-3.旬は11月から
しゃくし菜の旬は11月を過ぎた頃です。本格的な冬を迎えたあたりが最盛期であり、しゃくし菜の収穫が本格的になると、秩父地方の漬物工場も活気を帯びます。いろいろな製造方法あるものの、まずは収穫したしゃくし菜を下漬けし、その後は乳酸発酵を促して本漬けをします。製造には約1カ月掛かりますが、長期保存が可能なので、通年たのしむことができるでしょう。酸っぱすぎずしょっぱすぎない漬物なので、幼児からお年寄りまで多くの人が楽しむことができます。
参照https://www.shakushina.com/?mode=f1
2.しゃくし菜漬けを作ろう
しゃくし菜漬けは、秩父地方に行けばスーパーなどで手軽に買うこともできますが、しゃくし菜があれば、家庭で漬物を簡単に作ることもできます。基本的には塩にじっくり漬け込むだけでできるので、新鮮なしゃくし菜が手に入った際は、ぜひしゃくし菜漬けを手作りしてみましょう。
2-1.基本のしゃくし菜漬け
材料
- しゃくし菜 3~4株
- 鷹の爪 1本
- あら塩 大さじ2
作り方
- しゃくし菜は葉をよく洗い、4~5cmの長さに切る
- 鷹の爪は輪切りにする
- フリーザーバックに1を入れ、あら塩と2を混ぜ合わせ、よくもみ込む
- フリーザーバックの空気を抜き、そのまま冷蔵庫で3日ほど寝かせる
しゃくし菜漬けの作り方は非常にシンプルです。販売されているしゃくし菜漬けは、これに醤油やみりんを加えるものもありますが、まずはシンプルに塩と鷹の爪で味付けをするのが美味しいでしょう。3日ほど寝かせたしゃくし菜漬けは、程よい水分が出て塩味がしっかりとつき、箸休めの一品として活躍します。
2-2.しゃくし菜漬アレンジ1「しゃくし菜漬け飯」
しゃくし菜漬けは、そのままで食べるのはもちろん、いろいろな料理にアレンジして使うこともできます。まずは秩父地方では有名なアレンジ飯として、しゃくし菜漬け飯の紹介です。
材料
- しゃくし菜漬け 300g
- 漬け汁 大さじ3
- ごはん 4カップ
- 醤油、油、適量
作り方
- しゃくし菜漬けはみじん切りし、フライパンに入れて油で軽く炒める
- 1にご飯を入れて炒め、味付けに漬け汁を混ぜてさらに炒める
- 味が薄いようなら、醤油で調節して出来上がり
しゃくし菜漬け飯は、簡単にいうと、しゃくし菜漬けチャーハンです。材料もごはんとしゃくし菜漬けしか基本的には使わないので、とても簡単にできます。自分流にアレンジして他の材料も混ぜ、豪華なチャーハンにしてみても良いでしょう。
2-3.しゃくし菜漬アレンジ2「しゃくしな漬の油いため」
しゃくし菜は、漬物と「油炒め」が有名です。しゃくし菜は、もともとさっぱりした淡白な野菜であるため、ゴマ油でいためるととても美味しいです。生のしゃくし菜を使っても良いですが、あえて漬け込んであるしゃくし菜漬けを炒めることにより、さらに味わい深い油炒めになります。
材料
- しゃくし菜漬け 400gほど(市販品1袋でも可)
- 漬け汁 大さじ2
- ごま油、醤油、唐辛子、適量
作り方
- しゃくし菜漬けは水分を絞り、食べやすい大きさにカットする
- 1をフライパンに入れ、ゴマ油と唐辛子で炒める
- 全体に火が通ったら、漬け汁を注ぎ、炒め煮にする
- 汁気がなくなったら完成。お好みでしょうゆをたらす
もともと味がついているしゃくし菜漬けを炒めることで、深みが増してごはんのお供に良く合います。おつまみにも大活躍の1品なので、しゃくし菜漬けが冷蔵庫に余っているときに、ぜひサッと作ってほしい1品です。
2-4.しゃくし菜漬アレンジ3「何の料理にも合う万能漬物」
- 刻んで納豆に混ぜる
- 野菜炒めの具として
- 味噌汁の具材として加える
- 炊き込みご飯、チャーハンの具材として
- 和風パスタやピザの具材にも活躍
このように、しゃく菜漬けなら、さまざまなアレンジが可能です。そのまま食べるのに飽きたら、ぜひ多くの料理にアレンジしてしゃく菜漬けを楽しんでみましょう。
3.しゃくし菜漬けは第4の漬け菜になるか!?
日本の漬物には「3大漬け菜」と呼ばれる漬物があります。それは、野沢菜、高菜、広島菜漬けです。この菜漬けは食べたことのある人も多く、知名度も高いといえるでしょう。しゃく菜漬けはこれらの3大漬物を狙うべく、第4の漬け菜として徐々に知名度を上げているのです。
3-1.海外の人にも知ってほしい漬物
そもそも、漬物の知名度をあげるには、その地に来てもらい、地産地消で取れた素材による漬物を実際に食べてもらうのが大切です。埼玉県秩父は、もともと観光地ではあるものの、全国を代表する観光スポットまでとはいえません。
そのため、埼玉県は、飛行機の国際線機内食にしゃくし菜漬けを出してもらったり、全国漬物物産展などで積極的にしゃくし菜漬けを提供したりしています。これにより、国内のみならず海外の人にもしゃくし菜漬けを食べてもらう機会が徐々に増えてきました。ぬか漬けや奈良漬けのようなクセもないため、食べてみた多くの人から支持を得ています。こうした努力により、しゃくし菜漬けが第4の菜漬けとして有名になる日は近いかもしれません。
3-2.栄養価は高く、カロリーは控えめ
しゃくし菜漬けは、別名でいうと「体菜(たいさい)の塩漬け」ともいわれています。そもそも、体菜はアブラナ科の野菜であり、栄養が豊富なことでも有名です。ビタミンB,C群が含まれているほか、特に、ビタミンK、カロテン、葉酸が豊富です。しゃくし菜漬けを積極的に食べることにより、ビタミン不足を防ぎ、肌のアンチエイジング効果にも期待ができるでしょう。
また、しゃくし菜漬けは塩だけをベースに作られていることが多いので、カロリーはとても少ないです。しかも、他の漬物に比べると塩分量は少なく、缶詰のカツオフレークと同量の塩分量といわれています。そのため、たくさんのしゃくし菜漬けを食べても、塩分過多になることはまずないでしょう。栄養が多くカロリーは控えめということは、ダイエット食にも向いています。
まとめ
しゃくし菜漬けは、塩味をベースにしたとてもシンプルな漬物です。アルコールの風味やクセもないため、小さなお子さんもパクパクと食べることができるでしょう。まだ食べたことがないという人は、ぜひ、この埼玉県秩父名産漬物を食べてみてください。しゃくし菜漬けは、秩父地方に行けば手軽に購入できるほか、ネット通販ですぐ買うことも可能です。漬物が苦手な人でも食べやすく、さっぱりとした味なので、一度食べたらやみつきになるかもしれません。
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