数年前に流行った「塩レモン」を覚えているでしょうか。塩レモンは簡単にいうと、新鮮なレモンを塩漬けにした万能調味料です。肉や魚に混ぜることで素材をやわらかくし、うまみを引き出してくだれます。しかし、試してはみたけど、キッチンの隅で忘れられた存在になっていないでしょうか。
から揚げにレモンを絞ってかけるように、焼き魚にスダチを添えるように、柑橘類のさわやかな香りや酸味のある果汁は料理をさらにおいしくすることが知られています。塩レモンにもう一度注目し、調理の心強いパートナーに使っていきましょう。
1.塩レモンとは何か
塩レモンとは、もともと北アフリカにあるモロッコの伝統的な調味料です。レモンを塩に漬けて熟成させたものであり、酸味と塩味が絶妙の万能調味料です。日本でも2000年代に入ってから塩レモンが流行し、その作りやすさと手軽さから話題となりました。
1-1.塩レモンは、旬の国産レモンがあれば作ることができる
塩レモンは簡単に作ることができますが、ポイントは「国産レモン」を使うことです。
後述しますが、国産レモンと輸入レモンでは、使われている農薬が違います。輸入レモンはどうしても輸送の時間が掛かり、腐らせないように防腐剤が使われていることが多いのです。その点国産レモンは皮に防腐剤が使われることが少なく、皮をそのまま調理しても安心です。塩レモンは皮ごと塩漬けにする調理なので、防腐剤があまり使われていない国産レモンをつかうことがポイントです。
1-2.国産レモンは広島県が多い
日本で流通しているレモンの多くは輸入品です。およそ全体の半数を占めるのがアメリカ産であり、価格も安いことから一番手に入りやすいでしょう。次いで多いのがチリ産のレモンであり、これが全体のおよそ3割を占めます。
そして、残りのおよそ2割にあたるのが国産レモンです。国産レモンはあちこちで栽培されているものの、広島県が多く、次いで愛媛県、和歌山県、と続きます。やはり柑橘類とあって、ミカンの産地でも有名な場所で作られていることが多いです。
レモンは通年を通して食べることができますが、旬は冬から初夏にかけてのシーズンです。逆に夏はあまり収穫されることはなく、冬場を中心にレモンの旬を迎えます。10月頃から収穫できるものの、この頃のレモンはまだ青く、グリーンレモンと呼ばれています。
1-3.知っておこうレモンの栄養
レモンの栄養ときくと、まずビタミンCを思い浮かべる人も多いかもしれません。たしかに、レモンにはビタミンCが豊富に含まれており、肌トラブルを解消し、肌のターンオーバーを活性化させてくれます。
また、レモンには酸っぱみの要因であるクエン酸が豊富に含まれています。クエン酸は疲労回復を促し、夏バテを予防してくれる効果があるでしょう。そして、レモンの皮には豊富なポリフェノールが含まれています。なかでもヘスペリジンと呼ばれるポリフェノールには、血液をサラサラにしてくれる作用や、肥満防止といった生活習慣病の予防効果があります。
2.塩レモンを作って料理に活用しよう
ここからは塩レモンのレシピについて紹介します。塩レモンはプリザーブドレモンとも呼ばれ、欧米を中心に料理には欠かせない調味料として活躍しています。塩レモンは、旬の国産レモン、煮沸消毒した保存ビン、美味しい塩の3つがあれば作ることができます。では、さっそく作り方を見ていきましょう。
2-1.国産レモンと外国産レモンの違いとは
レシピに移る前に確認しておきたいのが「国産レモン」と「輸入レモン」との違いです。
これらは一目見てもなかなか違いを分けることはできないでしょう。購入するときに、産地をしっかりチェックしないといけません。
輸入レモンには「防ばい剤」という農薬が使われています。これは、移送期間にレモンが腐らないようにする、いわゆる防腐剤のようなものです。レモンだけでなく、外国産のオレンジにもよく使われています。逆に、国産レモンは防ばい剤が使われていることはなく、残留農薬の基準がきちんと設けられています。輸入レモンでもよく洗えば皮を使うことはできますが、塩レモンのように皮も調理に使う場合は、国産レモンを選んだ方が安心でしょう。
2-2.旬のレモンで塩レモンを作ろう
基本の塩レモンレシピ 材料
- レモン 4つ
- 塩 40~80g(レモンの重さ10~20%の量)
作り方
- レモンをよく洗い、水気を切る
- レモンをカットする。くし切り、輪切り、みじん切りなど好きな切り方でOK
- 煮沸消毒したビンに、カットしたレモン、塩、レモン、の順番で詰めていく。スプーンで押しながら詰め込んだ方が熟成が早く進む
- 最後に塩をかぶせ、瓶のふたを閉める
- 直射日光の当たらない場所に保管して、1日1回瓶を振る。これを1週間以上繰り返し、レモン液がとろっとしてきたら完成
塩レモンは冷蔵庫に保管するのではなく、直射日光の当たらない常温場所に置いておくのがポイントです。10日もするとだいぶ発酵が進み、使いやすい塩レモンになります。
2-3.砂糖やはちみつを加えた塩レモンもおすすめ
上記に紹介した塩レモンに、砂糖やはちみつを加えても美味しくできます。
砂糖やはちみつを加えると、塩だけを加えた塩レモンよりも深みのある味わいになります。ポイントは塩と同じ量の砂糖やはちみつを入れることです。これにより甘すぎず、しょっぱすぎない塩レモンが完成するので、お菓子作りにも使えたり、紅茶を飲むときのアレンジにも使えたりするでしょう。お菓子や紅茶に入れるのをメインにしたい場合は、塩よりも砂糖を多めに加えます。この配分によって完成する塩レモンの味わいも変わってくるので、お菓子用と料理用の塩レモンを別途作っておくのも良いでしょう。
2-4.塩レモンの美味しい使い方
作った塩レモンはたくさんの料理にアレンジすることができます。
まずもっともスタンダードな使い方が「肉料理」に使う方法です。とくに「鶏肉」との相性は良く、鶏肉を切って塩レモンともみ込んでおくだけで、肉のうまみと柔らかさが増し、いつもの鶏肉料理がワンランクアップするでしょう。チキンソテーや唐揚げを作る際には、下準備としてぜひ塩レモンをもみ込んでおきましょう。
そして魚料理とも相性が良く、白身魚や鮭に加えることで、美味しい魚のムニエルが完成します。ホタテ貝やイカにもみ込んでバター焼きをすれば、普段とは違う酸味の効いたバター焼きを楽しめるでしょう。
この他にも「オリーブオイル」にまぜてサラダのドレッシングに使ったり、「ゴマ油」とまぜて中華風ドレッシングや焼肉のたれにしたりと、アレンジ方法は何でも可能です。
3.塩レモンを作るポイント
手軽にできる塩レモンですが、作り方や使用方法には多少の注意が必要です。保存期間なども含めて見ていきましょう。
3-1.作った後、冷蔵庫には保管しない
塩レモンは、塩と旬のレモンが熟成されて完成するものです。そのため、作ったあとに冷蔵庫に保存してしまうと、熟成が進まない要因にもなります。塩レモンはビンに詰め込んだら、直射日光の当たらない常温に保存しましょう。また、塩レモンの賞味期限はおよそ1年です。しかし、冷蔵庫に入れることもなく、とくに保存料を使っていることもないため、保存方法によってはそれより早く傷んでしまうこともあります。必ず煮沸消毒したビンに入れるようにし、使う時は清潔なスプーンなどをつかって、外部の空気や汚れに接触しないようにしましょう。
3-2.国産レモンがない場合は
塩レモンを作るにあたり、一番難しいと感じるのが「旬の国産レモンがない」といったケースです。
レモンは通年スーパーなどで売られていることが多いですが、その多くが輸入品ということも多いでしょう。国産レモンが出回るのは冬の旬の時期だけであり、それ以外で塩レモンを作りたい場合、輸入レモンしかないこともあります。
そうした場合は「レモン汁」や「レモンの実」で代用するのがおすすめです。作り方は通常の塩レモンと同じです。レモンの重さに対し10~20%の塩を使うので、50㏄のレモン汁なら10g程度の塩を混ぜることにより、簡単な塩レモンを作ることができます。
皮を使った塩レモンよりも酸味が強く、味わい深い苦みは少ないかもしれません。それでも、輸入品のレモンを皮ごと使うよりかは、防腐剤といった薬品を摂取するリスクを減らすことができます。
まとめ
塩レモンは、国産の旬レモンがあれば、とても簡単に作ることのできる万能調味料です。塩レモンさえあれば、サラダ料理全般、肉や魚料理にも使え、味付けも美味しく引き締めることができるでしょう。
旬の国産レモンを見つけたら、ぜひ保存ビンを用意して塩レモンを作りましょう。また、砂糖を加えてお菓子にも加えられるよう、オリジナルの塩レモン作りもぜひ挑戦してみてください。
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