時間とともに味が変わっていく保存食「腐敗」と「発酵」の見分け方とは

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存食を作るうえで必要なのは「腐敗」と「発酵」の違いです。チーズや漬物といった食品は「発酵」させて作ることが多いですが、気をつけないと実は腐敗していたということもあります。

清潔に掃除をしていても空気中には様々な菌が存在しています。普通に生活するうえで空気中の菌を過度に怖がることはありませんが、保存食を作る際には注意しておきたいことがあります。ここでは、「腐敗」と「発酵」の違い、そして具体的な対策方法などを見ていきましょう。

1.「腐敗」と「発酵」の違いとは

チーズやぬか漬けなどは「発酵」させて作っている食品です。また「納豆」も有名な日本古来の発酵食品ですが、海外の人から見ると「それは腐敗している」と勘違いされることが多いです。似ているようで実は大きな違いがある両者、もう少し具体的に見ていきましょう。

1-1.「発酵」は人にとって都合の良い変化

発酵とは、簡単にいうと人間にとって都合の良い変化をした食材をいいます。日本食だけでも、納豆、お酢、醤油、味噌、みりん、漬物などは発酵食品に分類されています。海外の食材を見ても、ヨーグルト、キムチ、パンなどは立派な発酵食品です。こうしてみると、発酵食品は私たちの食卓に欠かせないものだと分かります。

「発酵=微生物が糖類を分解してアルコールや乳酸を作ること」と定義しているケースもありますが、発酵による分解物質はアルコールや乳酸だけではありません。チーズ作りではカビが用いられていることが多く、これにより独特の香りとうまみを出すことができます。

発酵は腐敗とは違い、人体に悪影響を及ぼすことはほとんどありません。むしろ積極的に発酵食品を食べた方が、体にとってはメリットが大きいのです。

1-2.「腐敗」は人にとって悪い変化

もう一方の「腐敗」は、人体にとって悪影響を及ぼす食材です。簡単にいうと「有機物が微生物の作用で分解され、悪臭を放つまでになった変化」です。

腐敗は発酵とは違い、人がわざわざ手をかけて作るものではないでしょう。例えば、ぬか漬けを作ることは発酵させることですが、そのまま数日間放置すると腐敗させることになります。腐敗と発酵の違いを見分けるには状況によって難しいこともあるでしょう。しかし、腐敗はカビも同時に発生することが多いため、一目で分かるケースもあります。

2.腐敗と発酵を見分ける方法

例えば、ぬか漬けを初めて作った人にとっては、数日間漬け込んだぬか漬けが発酵しているのか腐敗しているのか分かりにくいこともあるでしょう。ここからは、発酵と腐敗の具体的な見分け方について解説します。

2-1.腐敗と発酵は「臭い」が違うことが多い

ぬか漬けを例に、腐敗と発酵の違いを見ていきましょう。

まずぬか漬けを作る「ぬか床」は発酵食品なので、最初から酸っぱい臭いがします。しかし、このぬか床を放置しておくと、だんだん雑菌が繁殖して腐敗していきます。こうなると酸っぱい臭いから「どぶ臭い」ような強烈な臭いに変化します。腐敗と発酵の大きな違いとして「臭い」を覚えておきましょう。そのためには、発酵して状態の良い臭いを最初から覚えておくことが大切です。

一般的に食品が腐敗すると微生物が増殖するため、「腐った玉ねぎ」のような臭いを放ちます。発酵食品の多くは最初から強い臭いがすることが多いのですが、まずは買った当初の臭いを覚えておき、時間が経つにつれ臭いに変化はないかチェックしてみるのが重要です。

2-2.見た目の変化

腐敗をしているかどうか判断するのに、見た目の変化も重要です。

例えば、発酵当初から臭いが強いチーズに関しては、臭いの変化で腐敗が進んでいるのかを判断するのは難しいこともあるでしょう。その点、チーズの腐敗は見た目で判断しやすいです。それは「アオカビ」など、表面にカビが生えることが多いからです。

また、先ほどのぬか床も「水分が大量に出ている」「白い膜が浮いている」となると、徐々に腐敗が進行していることもあります。ぬか床は適切な処理を行えば腐敗を防止できますが、あきらからに普段の見た目と違う場合には無理をして食べない方が良いでしょう。

2-3.味で確かめる

腐敗と発酵の違いを高い確率でわかる方法として「食べてみる」ということがあります。

臭いも見た目も腐敗と発酵の違いが分からないケースとして「納豆」があります。たとえば、賞味期限が切れてしまった納豆は、買ったばかりの納豆と比べてもそれほどの違いはありません。実際に2~3粒食べてみて、とくに味が変わらないと感じたらそのまま食べても良いケースもあるでしょう。ちなみに納豆は冷蔵庫に保存したものであれば、賞味期限が多少切れていても大丈夫です。ただ1カ月を過ぎたものは水分が飛んで風味も損なわれているので、やめた方が良いでしょう。

ただ、味で確かめる方法はリスクを伴うこともあります。とくに普段からその味に慣れている人でないと、発酵と腐敗の違いを見極めるのは難しいこともあるでしょう。初めて青カビチーズを食べる人が、発酵と腐敗の違いを見極めるのはほぼ不可能です。味で確かめるのは、普段から食べなれている食材に限定し、ほんの少量にしたほうが体に害は出ません。

3.発酵食品を腐敗させないためには

発酵食品は売られているものの他にも、自分たちで手軽に作ることができます。しかし、作る際には細心の注意を払わないと、「発酵させているつもりが腐っていた」なんていうことになりかねません。ここからは、何かを作る際に腐敗させないためのコツを紹介します。

3-1.衛生面には細心の注意を払うこと

発酵食品だけでなく、「保存食品」でも作り方によってはあっという間に腐敗が進んでしまうことがあります。

たとえば「ジャム」が良い例でしょう。ジャムを作るには果物を砂糖で煮詰めて、レモンを数滴たらして発色を良くさせ、そのままビンで保存することが多いです。

しかし、このビンをいくらキレイに洗っても、空気中に浮遊している微生物の付着を防ぐことはできません。水洗いしただけのビンは、水と微生物が合体することでカビを発生しやすくなり、そこにジャムが入ることでますます微生物の行動が活発化してあっという間にカビが繁殖してしまいます。

保存食を作る際には「容器を煮沸消毒する」といった衛生面での管理が大切です材料となる食材の水分はしっかりとふき取りましょう。保存容器を煮沸消毒することにより微生物は死滅し、腐敗の原因になるカビを抑えることができます。

3-2.冬でも冷蔵庫保存がおすすめ

腐敗の原因になるものとして「常温保存」があります。

たとえば「納豆」は発酵と腐敗の中間あたりに位置する食品なので、賞味期限切れのものを食べても健康被害はないとされています。しかし、「常温保存」された納豆は腐ります。常温で数日おいた納豆はアオカビや白い膜が発生し、完全に腐敗した状態になり、食べることで健康被害をもたらすでしょう。

普段は冷蔵庫に入れてあるからといっても、油断はできません。ジャムでも毎朝食べることで常温のテーブルに置かれる時間は長くなります。毎日1時間常温にさらせば、それだけ腐敗のリスクは多くなってしまうのです。

基本的に食品は冷蔵庫に保管しましょう。食卓海苔といった常温保存できるものでも、冷蔵庫に入れることにより湿気を防ぎ新鮮な状態で食べることができます。冬でも暖房の効いた部屋では腐敗が進みます。食材は常に冷蔵庫に保管するようにしましょう。

3-3.「火を通せば平気」は危険

食材が腐敗しているリスクがあり、それを捨てようか迷っても「火を通せば大丈夫」という人もいます。しかし、これは危険です。

確かに、食材に付着している微生物は100度の熱で死滅することが多いです。少し古くなった野菜などは、炒めることで食中毒を防ぎ美味しく食べることができるでしょう。

しかし「古くなった食材」と「腐敗している食材」は違います。よく食中毒の原因となる「黄色ブドウ球菌」や「セレウス菌」などは、加熱調理の熱で死滅することはありません。腐敗している食材に火を通しても、食中毒のリスクを減らすことはできないのです。

腐敗した食材は焼いても冷凍しても、元の状態に戻すことはできません。ダメになった食材はあきらめ、次からは同じことのないよう食品の管理を徹底していきましょう。

まとめ

チーズや納豆、ぬか漬けやアルコール類などは、発酵と腐敗の違いがよく分からないこともあります。ただ、「臭い」や「見た目」、そして「味の違い」を確認することにより、多くの場合は発酵と腐敗の違いを見極めることができるでしょう。

ただ、発酵食品や保存食を手作りする際には注意が必要です。面倒だからといって手洗いや食材の衛生管理をおざなりにしてしまうと、せっかく作っても次の日からカビが生えはじめ、腐敗が進んでしまうケースもあります。自分で何を手作りする際には衛生面を徹底し、せっかくの食材を腐敗させないよう心がけましょう。

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