季節を取り入れる和食に欠かせないスパイスとして「山椒 」があります。山椒は程よいピリッとした刺激があり、マッチングする食材と一緒に食べることで、風味を良くしたり、栄養効果を高めたりする効能があるでしょう。
特に、山椒と相性が良い食材として「うなぎ」があります。うなぎのかば焼きに山椒を振りかけると、味も香りも一層華やかさが増すでしょう。今日は、和食には欠かせないスパイスである山椒について、詳しく解説していきます。
1.日本古来の香辛料「山椒」
山椒は、日本古来からある和食のためのスパイスです。しかし、その活用方法は少々限られており、うなぎのかば焼きを食べる時しか山椒を使わないという人も多いかもしれません。まずは、山椒とは何からできているのか、その種類はどのようなものがあるのかなど、見ていきましょう。
1-1. ことわざがあるほど、日本人には馴染みのあるスパイス
「山椒は小粒でピリリと辛い」ということわざがあります。この意味は、身体は小さくても、役に立ったり才能が優れていたりして、侮ることはできないという意味です。山椒の存在は、まさにこのことわざ通りであり、小さな粒を2~3口に入れるだけで、非常に強みのある爽快感が広がります。
山椒は小粒でありながら、少量を料理に加えるだけで、大きな存在感があるでしょう。料理の味を引き立ててくれる効果があるので、日本古来から親しまれています。そのため、独特の酸味がある「ゆず」と一緒に、日本領の2大香辛料として古来から使われてきました。
1-2.山椒の名前の由来
山椒は、ミカン科サンショウ属の落葉低木であり、別名は「ハジカミ」といいます。古代に食べた人が、その辛さから顔をしかめたことが由来とされています。山椒の実が割れ、はじけ、辛味を味わうことを「はじかみら」と言い、山椒の名前は当初「ハジカミ」といわれていました。
その後、中国から生姜が渡来し、山椒と同じように辛みのある薬味として普及していきます。生姜も山椒と同じように「呉(ご)のハジカミ」と呼ばれるようになり、山椒は日本の山で取れるために「山」という漢字が使われるようになりました。そのため、ハジカミは生姜の意味合いが強くなり、山の名前がついた山椒は「サンショウ」という読み方で定着していったのです。
1-3.実は種類が豊富という特徴も
普段何気なく口にすることの多い山椒ですが、実は種類が老いことでも有名です。一般的に多く使われているのが「山朝倉山椒(ヤマアサクラザンショウ)」です。これは山野にたくさん生えていることが多く、野草に詳しい人が持ち帰って佃煮などにすることも多いです。次いで「竜神山椒(リュウジンザンショウ)」は、食用のために栽培されている山椒です。和歌山県の竜神地方で主に栽培されているため、この名がつけられました。
そして「高原山椒(タカハラサンショウ)」は、主に飛騨地方で栽培されている品種であり、香りが良いのが特徴です。そのため、料理に使うとスパイス効果があるだけではなく、心地よい刺激のある香りを楽しむこともできます。この他にも葡萄山椒(ドウザンショウ)や犬山椒(イヌザンショウ)といった山椒の種類があります。しかも、世界的に見ると、山椒の種類はおよそ250種類もあるというので驚きです。
2.山椒のスゴイ効能とは
山椒は一般的な食材とは違い、少量振りかけて食べるだけです。そのため、山椒を食べたからといって、絶大な健康効果が表れることはないでしょう。しかし、山椒には「身体を温める」「消化促進」といった効能があります。少量振りかけるだけでも身体をポカポカにしたり、ダイエット効果をサポートしてくれることもあるでしょう。
2-1.山椒に含まれる主な栄養成分
山椒には主に4つの栄養が含まれています。まずは名前の通りの栄養である「サンショール」です。これは、山椒ならではのピリリとする辛みの素の成分です。このサンショールは辛みをもたらすだけでなく、肩こりや神経痛、身体を温める効果にも期待できます。そして「シトロネラール」は、山椒ならではの強い香りの素になっている成分です。食中毒予防や抗炎症作用の効果もあり、香りを抽出してハーブの虫よけなどにも使われています。
そして、山椒には「カリウム」も多く含まれています。カリウムは身体に貯まった塩分や老廃物を排出する役目があり、血圧の上昇を抑える効能に期待ができるでしょう。最後に「ビタミンA」が含まれていることも有名であり、免疫力アップや疲れ目対策にも有効です。
2-2.山椒に期待できる栄養効果
このように、小さな粒のなかにぎっしりと栄養が詰まった山椒は、毎日少量ずつたべるだけでも次のような効能に期待ができます。
2-2-1.身体を温めてくれる
山椒には身体の血流を良くしてくれる「サンショール」が多く含まれているため、冷え性予防にも効果があります。食べることで身体を温めてくれる作用もあるのですが、山椒を刻んで布につつみ、湯船に入れることで温浴を楽しむことができるでしょう。
2-2-2.ダイエット効果
山椒には、胃の調子を整え、消化不良をサポートする働きがあります。また、新陳代謝を高めてくれるので、デトックス効果も高いでしょう。食欲を増進してくれるスパイスでもありますが、脂っこいものに振りかけることにより舌に刺激をあたえ、食べ過ぎを抑制する効果もあります。そのため、ダイエットを行っている人は、積極的に山椒を使うと良いでしょう。
2-2-3.糖尿病の予防にも
山椒は、食べることにより身体にたまった毒素や老廃物を外に流してくれる作用があります。これにより、糖尿病予防にもつながり、尿路からの感染症予防にも期待できるでしょう。また、辛み成分が舌を刺激することで、少量の塩でも十分にしょっぱさを感じることができます。味付けの濃い食事ばかりしていた人が山椒を使うようになり、減塩効果が高まった実例もあるのです。
2-3.山椒の佃煮を作ろう
山椒は、粉上のものだと、少量しか食べることができません。しかし、粒の山椒がたくさん手に入ったら、ぜひ山椒の佃煮を作りましょう。山椒の栄養を丸ごと食べることができ、保存も冷蔵庫で1年ほど日持ちが可能です。
材料
- 山椒の実 200gほど
- 酒 200㏄
- みりん 大さじ3
- 醤油 70㏄
- 山椒の実を鍋に入れ、水をひたひたに入れて5分ほど茹でる(アク抜き)。指でつぶれる状態にする
- 1をざるに取り出し、水に浸して一晩置く
- 2を水から取り出し、鍋に入れ、酒、醤油の半量を入れて火にかける。弱火。
- 汁が少なくなってきたら、残りの酒と醤油、みりんをいれて弱火で煮込む
- 汁気がなくなってきたら完成
山椒の佃煮は、煮沸消毒した保存ビンなどにいれておけば、冷蔵庫で1年間は保存できます。ごはんにかけて食べるのはもちろん、料理のアクセントに加えるのも良いでしょう。
3.山椒と組み合わせて食べたい食材
3-1.身体を冷やす食べ物と組み合わせると、冷え性予防にもなる
山椒には身体を温める効果があるので、身体を冷やす食材と食べると冷えを予防することができます。また、食物繊維が豊富に含まれているものと一緒に食べると、相乗効果が発揮されるでしょう。
3-1-1.うなぎ
3-1-2.ナス
3-1-3.きのこ類にかけてダイエット効果を
まとめ
山椒は、とくに料理の主役になるといった存在ではありません。しかし、古来から使われてきた日本独自のスパイスでもあり、山椒がないと料理の味を引き立てることが難しいこともあるでしょう。
また、小さな粒でありながら、山椒の持つ栄養価はとても高いです。お茶漬けやふりかけとして楽しむことができるので、ぜひ毎日のごはんのお供に、山椒を積極的に食べていきましょう。
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