ごはんにあるおかずと言えば、やはり漬物が代表です。なかでも「べったら漬け」は東京を代表する漬物であり、食べたことのない人はいないと言っても良いでしょう。ただ、べったら漬けは漬物のなかでも甘みのあるものです。そのため、あまりにも甘みの強いべったら漬けの場合、ごはんにはちょっと合わないこともあります。
そこで、今回は自分で作る簡単なべったら漬けのレシピを紹介します。甘酒を使うことによって美味しく簡単にできるので、ぜひ気軽に家庭でのべったら漬けを楽しんでみましょう。
1.そもそもべったら漬けとは?
べったら漬けとは、米麹に漬けた大根の漬物です。地方で生まれた漬物が多いなかでも、べったら漬けは江戸で誕生し、東京特産の代表的な漬物として有名なものです。東京のスーパーに行けば「たくあん」と同じように「べったら漬け」も売られており、江戸時代から庶民の食卓を彩ってきました。
1-1.漬物には珍しい甘さがある
漬物の多くは塩を使うこともあって、しょっぱいのが多いでしょう。奈良漬けや粕漬、ぬか漬けやしば漬けなど、どれもごはんに乗せて食べることで、その塩味が引き立てられます。
しかし、べったら漬けは、粕床やみりん、砂糖などを使って作られています。そのため甘い味わいが特徴となっています。鷹の爪が加えられることもありますが、その多くは甘みが中心となっているので、子供には特に人気の漬物です。塩気がある漬物に飽きた人にとっては、箸休めにもなる一品でしょう。
1-2.本来のべったら漬けを手作りするのは大変
べったら漬けは、家庭でも作ることが可能です。しかし、昔ながらのべったら漬けを家で作ろうとなると、大量の大根を用意したり、こうじ床をベースから作ったりする手間が掛かります。また、5本以上の大根を漬け込む漬物樽も必要ですし、重石を載せて数日間漬けたあと、水を捨てて二度漬けを行う作業も必要でしょう。
昔ながらのべったら漬けを手作りするのは、正直なところ大変です。そのため、いまやべったら漬けを昔ながらの方法で手作りする家庭は少なく、市販のものを購入している人が多いのです。
1-3.市販のべったら漬けは甘すぎる!?
スーパーには何種類かのべったら漬けが売られていることもあるでしょう。しかし、買ってみたら「ちょっと甘すぎる」もしくは「もう少し甘みのあるべったら漬けが欲しかった」ということはないでしょうか。また、べったら漬けはお土産や名産品として売られていることもありますが、その味は製造元や売られているま地域によって特徴があります。そのため、なかなか自分の理想としてる味のべったら漬けを見つけるのは難しいのです。
特に、甘すぎるべったら漬けの場合、ごはんと一緒に食べるのは合わないでしょう。そうなると箸が進まず、漬物を無駄にしてしまうケースもあります。
2.自分で簡単にべったら漬けを作ろう
昔ながらの製法で、べったら漬けを手作りするのは難しいでしょう。しかし、家庭でも作り方を少し変えるだけで、簡単にべったら漬けを手作りできます。それは「甘酒」を使うことです。甘酒はもともとこうじ床からできています。濃縮タイプの甘酒を使うことにより、自分好みのべったら漬けを作ることが可能になるでしょう。
2-1.甘酒で簡単にできるべったら漬け
材料
- 大根 1本
- 塩 およそ30g
- 甘酒の素(濃縮タイプ)300g
作り方
- 大根は4等分にカットし、皮を厚めに剥く
- 1を縦4つにカットする
- 2をビニール袋に入れ、塩を入れてよくもみ込み、冷蔵庫で一晩寝かせる
- 3を取り出して水分を捨て、新しいビニールに入れて甘酒の素を加える
- 冷蔵庫で2日ほど寝かせて完成
この作り方なら、大根を塩でもみ込み、その後甘酒の素で漬け込むだけで、簡単で美味しいべったら漬けが完成します。本来の作り方だとこうじ床を作るところから始めるため作業に手間取りますが、最初から甘酒の素を使うことでだいぶ時間が短縮されるでしょう。たった3つの材料がそろっていれば簡単にできるため、コストパフォーマンスにも優れています。
2-2.甘酒の素で作るべったら漬け 食べ方とコツ
大根に漬けこまれた甘酒の素は、洗い流す必要はありません。気になる場合は軽く拭き取るようにしましょう。甘酒の素を一緒に食べた方が、栄養も十分に取ることができます。食べるときは大根を好みの大きさにスライスしてお皿に移すと良いでしょう。
甘酒の素を使うことにより、ほのかな甘みとなり、甘すぎないべったら漬けが完成します。市販のべったら漬けのようなしつこい甘さはないので、ごはんにも合うでしょう。塩の量を調整することにより、よりお好みの味わいに近づけることもできます。
2-3.大根以外でもできる、甘酒のべったら漬けとは?
甘酒の素があれば、大根以外の野菜でも漬け込むことができます。作り方は上記と同じであり、塩もみした野菜を、甘酒の素でさらに漬け込むことにより、簡単に甘酒の漬物が完成します。おススメの野菜は
- にんじん
- キュウリ
- 白菜
- カブ
- オクラ
など、好みの野菜を漬け込んでみましょう。また、一度野菜に漬け込んだ甘酒を、もう一度使うことはできません。塩漬けにした野菜に漬け込むことにより、甘さは失われてしまい、何度も利用することはできないのです。
3.甘酒でなぜ漬物ができる?
漬物は発酵食品として知られており、ぬか漬けなどはぬか床に漬けこむことで発酵してうまみがアップします。甘酒は「米麹」や「酒麹」などのこうじ床がベースであり、これを使うことによって美味しい漬物ができるのです。では、甘酒による漬物のメリットを見ていきましょう。
3-1.甘酒のべったら漬けは栄養がたっぷり
甘酒で作ったべったら漬けや漬物や、塩でもみ込んだ浅漬けなどとは違い、栄養価が豊富です。まず、甘酒の素には、プロテアーゼと呼ばれる栄養素が含まれており、これはタンパク質がうま味の素となる「アミノ酸」に分解します。アミノ酸と言えば「疲労回復効果」として有名であり、甘酒が飲む点滴といわれる由縁はここにあるのです。
そして、甘酒は胃腸の働きを助け、多くのビタミンを含んでいることから美肌効果にも期待ができます。そのため、甘酒をベースにしたべったら漬けは「疲労回復効果」「胃腸のサポート」「美肌効果」といった健康作用にも期待ができるのです。
3-2.ほんのりとした甘さが美味しい
市販のべったら漬けは、こうじ床以外にも「砂糖」が含まれていることが多いです。これは味にインパクトを持たせるためであり、食べることによりカロリーをたくさん摂取してしまうことにもなるでしょう。
その点、甘酒の素をベースに作ったべったら漬けなら、砂糖といった人工甘味料が入ることはありません。あくまでこうじ床に含まれた自然の甘さが楽しめるので、甘すぎることはないのです。また、麹には素材を分解する作用があり、野菜のうまみを引き立ててくれます。野菜を甘酒に漬け込むことにより、そのうまみがアップして、さらなる美味しい漬物になるでしょう。
3-3.もし甘酒が余ったら
漬物に漬け込む甘酒の素が余った場合、そのままお湯にとかして甘酒にして飲んでも良いですが、野菜のディップソースとして活用するのもおススメです。作り方は簡単、味噌と甘酒の素を「1対1」の割合で混ぜ合わせましょう。素ではなく、甘酒自体が余った場合も、対象多めに甘酒を入れることにより、美味しいディップソースになります。
生野菜をつけて食べるのはもちろん、手作りしたべったら漬けにソースとしてかけるのも美味しいです。味噌の風味と甘酒の甘さがちょうどよくマッチして、いろいろな料理に使うことができるでしょう。
まとめ
漬物には「塩味」「うまみ」「甘味」が大切だといわれています。甘酒をベースに作られた漬物は、このうちの「甘味」が引き立てられ、自然の甘さを楽しむことができるでしょう。栄養面から見ても他の漬物に負けない栄養素が凝縮されているため、毎日の食卓にも出すことができます。
また、甘酒を使った漬物は、何といっても時間と手間が掛かりません。漬け込む期間は、べったら漬けの場合では2~3日必要ですが、キュウリなどの場合は冷蔵庫で1日寝かすだけでも良いのです。栄養が豊富でコストと時間も掛からない甘酒の漬物、ぜひべったら漬けを中心に挑戦してみてください。
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