家庭菜園の中でも最もポピュラーで育てやすいと人気の野菜と言えば「トマト」です。育て始めてみると意外にも簡単に育ってくれるため、早く赤くならないかと待ち遠しさばかりが募ってしまう方も多いかと思います。
そんなトマトも、実は赤くなるのを待たずして熟していない青いトマトを収穫してしまう文化があるのです。
日本では「真っ赤に熟したトマト」を食べるのが一般的ですが、欧米ですとトマトがまだ青いうちに収穫して「ピクルス」にしてしまうということが当然のように行われていて、ロシアではスイカや卵といったものまでピクルスにしてしまうほどです。
では実際に、青いトマトをどのようにピクルスにしていくのか、青いまま食して問題ないのかといったことを見てみましょう。
1.どんなトマトがピクルスに向いている?
青いトマトのピクルスとは言っても、トマトそのものが「プチトマト」と「大玉のトマト」とで分かれます。
果たしてどちらのトマトをピクルスにすべきか、といったところですが、結論的には「どちらのトマトでも大丈夫」ということが答えとなります。プチトマトも大玉トマトもピクルスを作る際に必ずカットしますが、その際は一口くらいの大きさにカットしますのでどちらでも良いのです。
プチトマトの方が栄養価は高いという事実はありますが、ピクルスを作るという点だけにおいて言えば、大きな違いがあるわけではないのです。
1-1青トマトのピクルスの作り方(材料)
それでは今度は、実際の青いトマトのピクルスづくりの方法をご紹介させていただきます。
まず材料は以下のとおりとなります。
青トマト:適量
酢:300cc
水:100cc
砂糖:100g
その他:鷹の爪やローリエなどお好みで
これらは青トマトのピクルスを作る際に最も一般的な材料の例です。
好みによって砂糖を塩に変える方もいらっしゃいますし、ハチミツを足される方もいらっしゃいます。
1-2.青トマトのピクルスの作り方(漬け込みまで)
(1)まず、トマトのヘタを取ったら水洗いをします。その際、ヘタの部分に雑菌が付いている事があるためシッカリ洗いましょう。
(2)洗った青トマトの水を切ったらカットします。大玉のトマトなら一口大や漬け込みの瓶などに入る程度が目安です。
(3)酢、水、砂糖を鍋で火にかけます。
(4) 砂糖が溶けたころに火を止めて冷ませば漬け込み液の完成です。
(5)漬け込み瓶などは熱湯消毒などしてからが良いですが、カットしたトマトと漬け込み液を瓶に入れて1日経てば完成です。
1-3.青トマトのピクルスはいつなれば食べられる?
こうしで出来上がる青トマトのピクルスですが、漬け込むということから食べられるまでに時間がかかりそうなイメージですが、漬け込んだ次の日には食べても問題ありません。
もちろん、漬け込み時間が長いほうが味も染みますしコクも出てきますから、より美味になりますが、長くても10日ほどで食べきるのがベストです。
2.青トマトを食べても問題ないの?
青いトマトのピクルスの作り方が分かったところで、今度はそこに含まれる栄養価や成分について見てみましょう。
トマトに限らずですが、しっかり熟していない若い果実や野菜の多くには微量の毒が含まれているなんて聞いたこともあるかもしれません。ただ、それら未熟な果実の中にある毒性は熟すまでの間に徐々に消えてなくなるものですので、本来はあまり心配する必要のないものなのです。
もちろん、青トマトも少なからず毒性はあります。それが、「トマチン」と呼ばれる成分です。
2-1.青トマトに含まれる「トマチン」とは
青トマトに含まれているトマチンですが、これは害虫から身を守るための成分であり「アルカノイド」と呼ばれる成分の一種となります。ただ、他の植物と同じように熟していくほどその成分は少なくなり完全に熟す頃にはほとんどなくなり、青トマトと比べて熟した赤いトマトになると1000分の1程度にまでなります。
2-2.トマチンの致死量とは
このトマチンはどのくらい毒性が強いのかといったところが気になるところです。
まず、青トマト1kgに含まれるトマチンの量は「48mg」となります。対するトマチンの半数致死量(それを投与した動物の半数が死に至る量)は1600mgとされています。この事から33kgの青トマト、1個を100g程度として個数に直すなら33個を一気に食すと半数致死量に達するという事になります。
つまり、ピクルスにして食べる量として考えるとほとんど気にしなくても良い量だということになるのです。
2-3.致死量にならなくても食べすぎは注意
トマチンという毒性についてお話させていただきましたが、ほとんど気にしなくて良いものであることで間違いはありませんが、子供やお年寄りの場合は少し注意が必要です。
これもトマトに限ったお話ではありませんが、何でも多量に摂取するという事はそもそも良い事ではありません。特に、食した物の影響を受けやすい子供やお年寄りに至っては、青トマトを食べ過ぎてしまうと腹痛や下痢、場合によっては吐き気などを感じるほど気分が悪くなるといった事もあります。
3.青トマトのピクルスのメリット
少なからず毒性もあり、まだ未熟で青い果実を食用として漬け込むピクルスですが、そもそも何故そのような食べ方があるのでしょうか。
ピクルスが作られる理由として「保存食」としての一面があり、日本の食文化で言うところの「漬物」にあたります。歴史を遡ると紀元前2000年前には既にピクルスは存在していたと言われており、冬場に収穫される根野菜と比べて長く保存できない夏野菜を長期保存できるというメリットからヨーロッパ全土に広がりました。
ピクルスには「植物性の乳酸菌」「食物繊維が豊富」「クエン酸による疲労回復効果」といった、普通に食べたのでは得られない栄養を摂取する事ができるというメリットもあります。
そんな漬物の一つであるピクルスは栄養価が高いだけではなく、ほどよい酸味が美味しいという事でクセになってしまう方も多くいらっしゃるほどで、トマトだけに限らず、他の実に栄養をいき渡らせるために必要な「初生りの早期収穫」をするときに活用でき、夏も終わりに近付いてなかなか色づかない果実を最後に収穫しきってしまうタイミングでも活用できます。
ピクルスを作るという目的で家庭菜園でトマトを栽培される方もいらっしゃいますが、このような機会に自分の好みに合わせて熟したトマト、青いトマトの収穫を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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