もうすぐクリスマスが近づいてきますので、クリスマスを盛り上げるお料理をそろそろ考える時期でもあります。そこで今回オススメしたいのがイギリスの保存食としてクリスマスには必須である「ミンスミート」です。
ミートと聞くと「お肉の保存食?」と思われるかもしれませんが、その正体は牛肉や豚肉を使ったものではなく、干しブドウ等のドライフルーツ、リンゴ、オレンジ、アーモンド等を、砂糖、香辛料と一緒にラム酒やブランデーに漬けて煮込んだ食べ物の事です。
実はあの有名な映画「天空の城ラピュタ」でもシータを救出後にドーラ一家の息子達が好きな食べ物をリクエストしており、その内の一人が「俺、ミンスミートパイが好きなんだ」と言っているシーンがありますがお気づきでしたでしょうか。今年のクリスマスにミンスミートを使って新しい料理に挑戦してみましょう。
1.ミンスミートの歴史
ミンスミートという言葉は直訳すれば「細かく引き裂いた肉」という意味があり、日本で言えばミンチにあたります。ミンスミートの発祥はイギリスであり、イギリスでは知らない人はいないほどの保存食なのです。
また、第二次世界大戦中にイギリス軍が実行した諜報作戦の名前も「ミンスミート作戦」と呼ばれており、この作戦が成功した事を当時米国にいたチャーチルへ電報を打った時に伝えられた「ミンスミートは丸呑みされた」は有名なお話です。今ではミンスミートを使ったパイはイギリスのみならず、日本でも食されるほど、知名度も上がってきているのです。
1-1.誕生当初のミンスミート
実はミンスミート誕生当初は本当にお肉を使っておりました。イギリスでは古くから伝わるお肉の保存方法の一つとして、現在では使われていませんが昔は本当に挽肉を入れて作られており、挽肉には羊の肉を使用していた時期もありました。
昔は今のように缶詰などの保存技術が無かったため、お肉を保存するためにミンスミートにして保存しておりましたが、今ではお肉をちゃんと保存する技術もありますし、お肉自体が高価にもなったのでミンスミートとしては使われなくなりました。その代わり、ドライフルーツやリンゴ、ナッツ類を代用してミンスミートを作るようになりました。また、名残で牛脂を入れていたミンスミートもありますが、今ではバターや健康面を気にしてオリーブオイルで代用しているミンスミートもあり、脂肪分を気にする人でも親しみやすい味にもなっています。
昔は前菜のような食べ方をされていましたが、今ではクリスマスで振舞われるミンス・パイの中身として、クリスマスの主役を飾る存在になっています。
1-2.イギリスではクリスマスに必須なミンスミート
イギリスでは今でもこのミンスミートを使った「ミンス・パイ」がクリスマスでは振舞われます。また、ミンス・パイは縁起を運ぶお菓子でもあり、作るときも材料を混ぜる時は時計回りにしないと、逆時計回りだと悪い運気が入るとされています。また、ミンス・パイを食べる時は最初の1個目は願いを叶えるために黙って食べるというジンクスまであります。
なお、イギリスのクリスマスは日本と違ってクリスマスデコレーションはクリスマスの12日後に片付けるのが伝統であり、その日は来年の1月6日になります。そして1月6日の12日間、ミンス・パイを毎日1個ずつ食べると「その年に幸運が訪れる」という言い伝えがあります。そのため、イギリスでは「ミンス・パイ」は縁起物であり、ミンスミートはクリスマスと新年を迎えるために必須となります。
2.ミンスミートを作ってみよう
ミンスミートは材料さえ揃っていれば自分で作る事もできます。ただし、材料が調達できない、年末で忙しくて仕込んでいる暇が無い場合は、既製品のミンスミートを買うのもオススメです。しかし、材料を揃えることが出来るならば、オリジナルのミンスミートを作り出すこともできるので、機会があれば是非チャレンジしてみてください。
2-1.ミンスミートを作るのに必要な材料一覧
ミンスミートを作る材料はスーパー等で普通に手に入れる事が出来ますので、それほど難しい食材を用意する必要はありません。ただし、アーモンドやぶどうにアレルギーを持っている方や、ラム酒やブランデーを使うのでアルコールに耐性のない人やお子様に振舞う時などは注意しましょう。一般的にミンスミート必要なオススメ材料は以下のようなものがあります。
・ドライフルーツミックス
市販でドライフルーツが詰まったタイプでも良いですし、干しブドウ等の別々に売られているものでも良い。
・りんご
みじん切りにして混ぜる必要があるので、崩れやすいタイプではなく歯ごたえのある紅玉等がオススメ。
・アーモンド
アーモンドスライスがあればそちらでも可能。胡桃ももし手に入るのであれば砕いて一緒に入れるのもオススメ。
・オレンジピール
見つけにくいかもしれませんが、ドライフルーツと同じ売り場にある事が多いです。あればレモンピールもオススメです。
・シナモン
スパイスとして必須です。これが無いとミンスミートが始められません。
・クローブ
こちらはやや見つけにくいのであれば良い程度です。
・ナツメグ
クローブ同様にこちらも見つけにくいのであれば良い程度です。
・ラム酒
無ければブランデーでも代用が出来ます。
・砂糖、オリーブオイル
クリスマスが来る前に仕込む必要がありますので、年末で忙しくなる12月の頭からよりも11月頃から仕込みを始めておきましょう。また、ミンスミートは作る過程で火を使いますのでお子様達がやる時は必ず保護者が付いてあげてください。
2-2.ミンスミートをパイ以外にも使ってみる
ミンスミートはミンス・パイだけでなく、他の料理にも使用してアレンジする事ができます。アレンジ例としては以下のような料理に使うことをオススメします。
・朝のトーストにジャム代わりとして使う
フルーツが一杯使われているので、朝の活動に必要なエネルギーもバッチリです。
・フルーツケーキやクッキーの材料に使う
フルーツ一杯のミンスミートはブランデー、ラム酒も使っているので、フルーツケーキやクッキーを作るのにもピッタリです。
・アイスクリームのトッピング
バニラアイスクリームのトッピングに使えばおしゃれなフレーバー代わりにもなります。
まとめ
味的には好きになれる人もいれば、苦手な方もいるミンスミートですが、ミンス・パイ以外のお菓子にもジャム代わりとして使えますので、ミンスミートを使った新しいお菓子を作って友達や家族に振る舞いましょう。
コメント