肉料理にはさまざまな種類がありますが、「ステーキ」や「ブロック肉」の調理となると、食べたときに肉が固いということはありませんか?高い肉を買えば柔らかく調理できるかもしれませんが、できれば安いお肉をやわらかくしたいと考える人の方が多いのではないでしょうか。
そこで役に立つのが「ブライン液」です。ブライン液は、水と塩と砂糖があれば、安い肉でも簡単に柔らかくしてくれる万能液です。今日は、このブライン液について詳しく見ていきましょう。
1.肉をやわらかくする方法はいろいろある
「肉をやわらかくする」という言葉をネットで検索すると、実に多種多様のやり方が出てきます。他の材料を混ぜ合わせたり、肉自体をたたいたりと、そのやり方は多岐にわたります。しかし、どの方法も「家に材料がない」というケースが多いのです。まずは、それらのやり方について見ていきましょう。
1-1.まずは定番のやわらかくする方法
ここからは、よくある肉をやわらかくする方法を見てみましょう。「ステーキをやわらかくする」のを前提に見てみると、次のような方法があります。
- ヨーグルトを使う ステーキ肉をカットして、両面にヨーグルト塗りつけ30分以上置いてから焼く
- スポーツドリンクを使う テーキ肉とスポーツドリンクをジップロックに入れて、浸してから焼く。
- 炭酸水を使う 炭酸水にステーキを30分以上浸けてから焼く
- 大根おろしを使う 大根おろしにステーキを30分以上浸けてから焼く
- おろし玉ねぎと赤ワインにつけて焼く
この他にも、ベーキングパウダーを使ったり、リンゴやキウイを使ったりと、肉をやわらかくする方法は実にさまざまあります。どの方法も、柔らかくなって美味しいという声が目立ちました。
1-2.どの方法も材料とコスパが掛かる
ただ、どの方法であっても、家にその材料がないとできません。例えば、ヨーグルトを使って肉をやわらかくする方法では、なるべく無糖のヨーグルトのほうが余分な甘みは出ないでしょう。砂糖入りのヨーグルトはあっても、無糖ヨーグルトはないので買いに行かなくてはならない、ということもあるのです。
そして、肉をやわらかくするために、あえてその材料を購入するコストパフォーマンスも掛かります。ヨーグルトやスポーツドリンク、大根など、どれも100円程度で買えることは確かですが、柔らかくするためにわざわざお金と手間をかけて購入するのも考え物です。たまたま家に炭酸水があったから活用する、そうした使い方は良いのですが、肉をやわらかくするための材料をあえてそろえるのは、少々もったいない気もします。
1-3.従来の方法だと味が付いてしまう場合も
そして、こうした食材を使って肉をやわらかくする方法は、肉にその食材の味がついてしまうこともあります。
例えば、二番目に紹介した「スポーツドリンクに肉を漬け込む」という方法は、漬け込む時間が長いほど肉はやわらかくなります。しかし、その分肉にスポーツドリンクの味が浸透してしまうのも確かです。実際に試した人の声を見ると、「柔らかくなったが、ステーキにかすかなスポーツドリンクの風味がして、あまり美味しくなかった」という意見もあります。これでは、せっかくの料理の味が落ちてしまい台無しです。
ワインや玉ねぎの下味はOKですが、あまり肉がやわらかくならないという意見もあるようです。また、炭酸水は無味無臭ですが、漬け込んだ後に常温に30分ほど置くという手間が掛かります。そうなると、肉のドリップが染み出してうま味が逃げてしまうこともあるでしょう。肉をやわらかくする、もう少し良い方法はないのでしょうか。
2.ブライン液を活用しよう
上記で紹介した方法は、簡単でありながらも、食材によって少々デメリットがあるでしょう。そこで新たに紹介したいのが「ブライン液」の活用方法です。ブライン液は、水・砂糖・塩さえあれば作ることができます。コストパフォーマンスにすぐれ、常に家にある材料から作ることができるため、非常にお得で便利な方法です。
2-1.基本のブライン液の作り方
ブライン液は、水100gに砂糖と塩を5%ずつ混ぜるだけのものです。この分量で、およそ鶏肉なら1枚、豚肉や牛肉で300g程度を漬け込むことができます。
ブライン液は、水100gに砂糖5g、塩5gずつを混ぜ合わせて完成です。5gをはかるのが面倒な場合、小さじ1の分量がおよそ5gといわれています。また、砂糖は空気を含むので、小さじ1より少々多めにし、塩の場合は粒子が細かいため、小さじ1より若干少なめにした方が5gに近づきます。これらを水100gに混ぜて、ブライン液を完成させましょう。
2-2.塩水だけで作る方法もある
ブライン液で検索をすると、サイトによっては「水と5%の塩水」だけで出来る場合もあります。砂糖を加えず、100gの水に対して5gの塩で作る方法です。時間がない人は、このやり方でも肉をやわらかくすることができるでしょう。
ただ、塩を加えただけのブライン液は、肉を漬け込んだあとにパサついてしまうこともあります。とくに、漬け込み後に放置をしたり、肉を焼き過ぎてしまうと、パサつくことが多いです。また、塩の配合を少し多くしただけで、出来上がった料理がしょっぱいこともあります。やはり砂糖を加えた方がパサつかず、上品な甘みとコクがでるため、塩と砂糖を両方使ったほうが良いでしょう。
2-3.ブライン液なら余分な味や臭いが付かない
ブライン液は、肉を漬け込むことにより、素材をやわらかくする特徴があります。また、これだけではなく、砂糖と塩と水という基本的な素材で出来ているため、余分な味や臭いがしないのも特徴です。
例えば、ヨーグルトで肉を漬け込む方法は、肉を焼いた時点でヨーグルトの酸味などは飛ばすことができますが、ヨーグルトの風味によっては香りが残ることもあるでしょう。そして、乳製品にアレルギーがある人は、そもそも下味にヨーグルトを使うことができません。
その点ブライン液なら、アレルギーの心配もなく、余計な味や香りがつく心配もないでしょう。素材本来の味を邪魔しないので、多くの肉料理に安心して使うことができます。
2-4.鶏ハムも簡単にできる
砂糖を塩を漬け込む料理として「鶏ハム」が有名です。ブライン液も砂糖と塩を混ぜ込んであるので、簡単に鶏ハムを作ってみましょう。
材料
- 鶏むね肉 1枚
- ブライン液 水100g 塩、砂糖各5g
作り方
- 鶏むね肉はフォークで数カ所穴をあけておく
- ブライン液と1をジップロックに入れて冷蔵庫で一晩寝かせる
- 鍋にお湯を沸かし、2を入れて弱火で20分ほど茹でる
ジップロックに入っているブラウン液を捨て、鶏肉だけをジップロックごと湯煎して調理することも可能です。こうしたほうがさらに鶏肉が柔らかくなり、よりジューシーな鶏ハムができるでしょう。ちなみに、一度肉を漬け込んだブライン液は、再利用できません。使用後は必ず捨てて、使用毎にブライン液を用意するようにしましょう。
3.ブライン液で豚肉を美味しく食べよう
3-1.塊肉にはとくにぴったり
豚肉の塊肉は、いろいろなものに調理ができます。骨付きならスペアリブ、骨がないものなら豚の角煮やポークソテーなど、洋食店で楽しめる料理を手軽に作ることもできます。
ブライン液を使う方法は、塊肉をジップロックなどの密閉袋に入れて、ブライン液を注ぎます。そのまま空気をできるだけ抜いて袋の口を閉じ、冷蔵庫で4時間以上置くのが基本です。調理するときにはブライン液を捨て、キッチンペーパーなどで肉の水分を捨てましょう。こうすることで、何もしなかった塊肉よりも、はるかに食べやすくて柔らかい豚肉になります。
3-2.ブライン液でチャーシューを作ろう
- 豚バラブロック 500g
- ブライン液 100ml分
- 青ネギ 青い部分1本
- 醤油、酒、みりん、水、各50ml
- お酢 30ml
- 生姜チューブ 3㎝ほど
- はちみつ 適量
作り方
- 豚バラブロックは、ブライン液にあらかじめ漬け込んでおく
- 1を取り出し、表面にフォークで適当に穴をあけ、はちみつを塗り込む
- 醤油、酒、みりん、水、お酢、生姜を混ぜ合わせる
- 厚手のなべに2を入れ、表面を転がしながら焼く
- 肉に焼き色がついたら、合わせ調味料と長ネギを投入する
- ふたをして弱火で1時間ほど煮込む、途中でひっくりかえす(圧力なべの場合は10分ほどでOK)
- 火を止めて、冷ましたら液ごと容器に入れて保存する
- 完成。脂が浮いてくるので、それを取り除き、調理油として使っても良い。
ブライン液に漬け込んだ豚肉は、おどろくほど柔らかくなり、砂糖と塩が下味としても生かされます。塊肉を調理してパサついてしまうと感じる場合は、ぜひブライン液を活用してみましょう。
まとめ
ブライン液は、すべての肉料理に使うことができます。最後の方は塊肉を中心に紹介しましたが、実は「ショウガ焼き」や「野菜炒め」「唐揚げ」にもおすすめです。いずれも漬け込めば漬け込むほど柔らかくなりますが、生姜焼きといった薄手の肉の場合は、およそ20分漬け込めばOKです。こうすることで、より肉が柔らかくなり、うま味も引き出されて美味しい肉料理が完成できるでしょう。
砂糖、塩、水は、まずどの家庭のキッチンにもある定番材料です。材料をあえてそろえる必要もないブライン液は、まさに簡単便利な下味調味料でしょう。今日の食事作りから、さっそく取り入れてみてください。
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