春の香りと味をゆっくり楽しむ 菜の花の黄金漬け

「菜の花の漬物」と聞くと、みなさんはどういうイメージがあるでしょうか。多くの人は、青々とした葉と黄色い花びらが鮮やかな「浅漬け」を思い浮かべるかもしれません。確かに菜の花の漬物は、春野菜独特の苦みと香りを楽しめる旬にしか味わえない漬物です。しかし、温暖な滋賀県田上地域には、この菜の花を使った「黄金漬け」という漬物があります。この漬物は美味しいだけでなく、乳酸菌が豊富であり、食べることで高い健康効果を得ることができるようです。今回は菜の花の栄養素や漬物について、また、黄金漬けについても掘り下げていきましょう。

1. そもそも菜の花とは

菜の花と聞くと「黄色い花」のイメージもあるかもしれません。しかし、食用として食べられる菜の花には、あまり黄色い花はありません。食べられる菜の花と、野に咲いている菜の花って、何が違うのでしょうか。

1-1.菜の花はブロッコリー!?

まず、菜の花とは特定の植物を言うのではなく、アブラナ科の花をすべて指しています。具体的に言うと、白菜やキャベツ、ブロッコリーもアブラナ科です。ブロッコリーは放置しておくと黄色い花を咲かせることがあるでしょう。あれはブロッコリーの花ではなく、実は菜の花と呼ばれるものなのです。 それでも、私たちが認識している菜の花は、春になると大量に河川敷に咲く黄色い花のイメージがあります。確かに河川敷に咲いている花はアブラナ科の菜の花です。セイヨウカラシナかセイヨウアブラナという種類であり、河川敷で多く見られるのは、昔の人が菜種油を取るために植えられたことが始まりと言われています。

1-2.菜の花の種類は主に3種類

菜の花には「食用」「菜種油用」「観賞用」の3種類があります。食用の菜の花は在来種と西洋種があり、在来種は黄緑色の葉っぱが特徴で、主につぼみと葉を茎を食べることができます。一方の西洋種は葉っぱが濃い緑色で厚く、花の茎と葉っぱを主に食べます。味はどちらもほろ苦いのが特徴であり、胡麻和えや漬物にすることで美味しく食べることができるでしょう。 また、菜種油用として使われる菜の花は、「アブラナ」と呼ばれることも多いです。油として栽培されるアブラナはセイヨウアブラナと呼ばれ、黄色い花を咲かせる前に収穫するのが一般的です。

2.菜の花で漬物を作ろう

菜の花の最もスタンダードな食べ方は、浅漬けのような漬物です。昆布や塩ともみ込むことにより、ほろ苦い味わいを楽しむことができるでしょう。まずは簡単に作れる浅漬けのレシピを紹介します。 2-1.菜の花の浅漬け 材料

  • 菜の花 20本
  • 乾燥昆布 1センチ角を5個ほど
  • 塩 小さじ1/2

作り方

  1. 菜の花は根元の硬いところを除き、さっと塩茹でして水を切ります
  2. ビニール袋に(1)と昆布、塩をよく混ぜ合わせ、冷蔵庫で1時間以上寝かせます

菜の花は野菜なので、新鮮なものであれば生で食べることもできます。しかし、漬物にするには生だと少々えぐみがあるため、やはりサッと塩ゆでしてから使うようにしましょう。

2-2.菜の花の黄金漬けとは

菜の花の「黄金漬け」とは、滋賀県田上地域で作られている伝統的な漬物です。もともと田上地域は豊かな土壌と水に恵まれた田園地帯であり、昔から水田の周辺に菜の花が栽培されてきました。つまり、菜種油の産地として有名な地域だったのです。 しかし、菜種油を取るためには花を間引きしながら株を大きくする必要がありました。黄金漬けは、この間引きされた花を塩漬けにしたのが始まりです基本的に水をまったく使わずに、塩と唐辛子だけで半年以上漬け込まれた漬物です。そのため、乳酸菌がしっかりと醗酵し、独特のすっぱさがを楽しむことができます。

2-3.菜の花の黄金漬け レシピ

それでは、菜の花の黄金漬けの作り方を見ていきましょう。 材料

  • 食用菜の花の「花の部分」だけ 1キロ
  • 塩 80g

作り方

  1. 花は汚れを軽く布巾で拭く(水で洗ってはいけない)
  2. 花に塩をまぶし、軽くもみ込む
  3. 漬物石でしっかりと押し込む
  4. そのまま半年~1年間漬け込む 灰汁汁が出てきたら取り除き、塩水を加える

菜の花の黄金漬けは、塩と菜の花がたくさんあれば誰でも作ることができます。しかし、花だけを1キロ用意したり、半年以上漬け込んだりするのは、菜の花の名産である滋賀県田上地域でないと難しいかもしれません。そのため、地元の人以外は売られている黄金漬けを買って楽しむことが一般的です。 菜の花の黄金漬けは乳酸発酵が特徴であり、作っている間にも独特な匂いがします。そのため「畑の鮒ずし」とも呼ばれており、ごはんのお供として人気があります。

3.菜の花には栄養がぎっしり

菜の花は、当然ながら花を咲かせる野菜です。食用として食べる時には花を咲かせる直前の菜の花が出回り、つぼみがついています。このつぼみの中には花を咲かせるための栄養がぎっしりと詰まっており、野菜の中でも非常に栄養価の高いものなのです。

3-1.こんなにある!菜の花の栄養

菜の花は知る人ぞ知る非常に栄養価の高い野菜です。中でも「βカロチン」と「ビタミンC」の含有量は、なんと野菜の中でもトップクラスです。独特な苦みの中に、健康に欠かせない栄養が濃縮されているのですね。 また、菜の花には「カルシウム」「鉄分」「カリウム」なども豊富に含まれています。ビタミンとミネラル分がたっぷり凝縮されているので、野菜不足を感じている人はぜひ菜の花を食べましょう。浅漬けの漬物として一品出すだけで、多くの野菜を食べたことに匹敵する栄養摂取効果があります。

3-2.菜の花による健康効果

菜の花にたくさん含まれているビタミンCは、コラーゲンを生成したり、乾燥を防いだりと、肌のツヤとハリをもたらしてくれる効果が高いです。また、βカロチンにも肌荒れや乾燥肌を防ぎ、新陳代謝を促して肌の生成をサポートしてくれます。つまり、菜の花は美肌効果がとても高いのです。 また、カルシウムや鉄分は、貧血やイライラを防いだり、骨や歯を丈夫にしたりする効果があります。体の成長には欠かせない栄養素なので、ぜひお子さんにも食べてほしい野菜です。その他にも高血圧予防や、新陳代謝を促すダイエット効果にも期待ができます。

3-2.菜の花には希少な栄養素も

菜の花には豊富なビタミンやミネラルが含まれていますが、この2点は他の野菜にも多く含まれていることがあります。しかし、菜の花はこの野菜だからこそ含まれている希少な栄養素もあるのです。 まず菜の花にはわずかに辛み成分も含まれていますが、これは「イソチオシアネート」と呼ばれる栄養素の影響です。イソチオシアネートは辛味を生み出すだけでなく、抗がん作用や血栓予防につながるといった研究結果もあります。 そして、菜の花特有の苦みは「ケンフェロール」によるものであり、これはエネルギーの代謝を高め、脂肪の燃焼をサポートしてくれます。また、免疫力を高める栄養素でもあるので、風邪や病気予防にもつながるでしょう。

3-3.子供も食べやすい菜の花レシピとは

最後に、菜の花は子供にとってやや食べにくい食材でもあります。子供たちが食べやすいようなレシピを紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。 菜の花のマヨネーズ和え 材料

  • 菜の花…1束
  • マヨネーズ…大さじ1
  • 白すりごま…大さじ1
  • しょうゆ…大さじ2分の1

作り方

  1. 菜の花は塩ゆでをし、水気を切っておきます。
  2. マヨネーズ、白ごま、しょうゆをよく混ぜて、菜の花を和えて完成です。

菜の花の漬物やおひたしは、菜の花特有の苦みを引き出すこともあります。しかし、マヨネーズであえると苦みを減らすことができ、馴染みのある味わいとなって、子供も食べやすくなるでしょう。おひたしや漬物に軽くマヨネーズをかけるだけでも食べやすくなるので、一度試してみてはどうでしょうか。

まとめ

菜の花はまさに春の季節を知らせてくれる代表的な野菜です。おひたしや漬物にして食べることが多いですが、マヨネーズを加えてアレンジしてみるのも楽しそうです。 また、菜の花には「黄金漬け」と呼ばれる伝統的な漬物があることも分かりました。花の部分だけをしっかりと漬け込んだものであり、見た目は本当に黄金に輝くような色合いをしています。独特の酸味のある匂いが食欲を注ぎ、おつまみとしてはもちろん、ごはんに掛けてたべるのも絶品です。滋賀県田上の伝統的な漬物なので、近くに寄る際には、ぜひ菜の花の黄金漬けを食べてみてください。

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