ぬか漬けは多くの漬物の中でも栄養価が高く、家でも簡単に作ることができます。ぬか床さえ用意すれば、好きな野菜をいれてかき混ぜるだけで美味しいぬか漬けのできあがりです。
しかし、夏場のぬか床はカビが生えやすく、臭いがひどいこともあるでしょう。そのため夏場だけぬか床を冷蔵庫にいれる方法もありますが、冷蔵庫に入れっぱなしで放置してしまうと発酵の力が弱まり、ぬか床の元気がなくなってしまいます。
今回は元気のなくなったぬか床の再生方法を紹介します。冷蔵庫にぬか床を入れるポイントや、具体的なぬか床の再生方法を紹介するので、ぜひぬか漬け作りの参考にしてください。
1.ぬか床を冷蔵庫に入れておくメリット
ぬか床は生の野菜をそのまま入れるため、容器が大きければ大きいほど漬物が作りやすくなります。しかし、大きい容器は邪魔になることも多く、ぬか床の量も増えるため、発酵臭がしてしまうこともあるでしょう。そのため、ぬか床は最初から冷蔵庫に入れておくという家も増えています。まずは、冷蔵庫にぬか床を入れておくメリットから見ていきましょう。
1-1.夏場でもぬか床が痛まない
ぬか床を保存しておくための最適な気温は、20~25度前後が良いと言われています。そのため部屋の常温保存が適しているのですが、30度を超える夏場になると温度が高すぎてしまい、乳酸菌が増えすぎることなどからカビが生えてしまうのです。そのため、真夏の時期だけでもぬか床を冷蔵庫に入れることにより、カビの発生を抑え、ぬか床の傷みを防ぐことができます。しかも、夏場は湿度も高いため、ぬか床に雑菌が入ると繁殖する原因にもなります。冷蔵庫保存は湿度も抑えられ、雑菌の繁殖を防ぐことができるため、衛生面からみても良い保存方法でしょう。
1-2.毎日かき混ぜる必要がなくなる
ぬか床は冷蔵庫にいれることで冷やされ、乳酸菌の活動が穏やかになります。すると野菜の発酵は遅くなり、ぬか漬けとして漬かる時間は遅くなります。つまり、毎日漬け込んだ野菜を出す必要がないため、毎日ぬか床をかき混ぜる必要がないことになります。漬かりにくくなることはデメリットでもあるのですが、旅行などに行って数日ぬか床をかき混ぜられないときや、忙しくてなかなかぬか床の手入れができないときなどは便利でしょう。
1-3.冷たいお漬物が楽しめる
夏場に食べる漬物は、サラダのように冷えたものが食べたいこともあるでしょう。常温で保存したぬか漬けは、とったものをそのまま食卓に並べると生ぬるいと感じるかもしれません。その点冷蔵庫で保存しておいたぬか漬けは、ぬか床から出してすぐに冷たい状態でいただけるといったメリットがあります。漬け込む時間を調整して、食べる時に塩昆布やドレッシングなどをかけて食べると、即席の浅漬け代わりにもなるでしょう。夏場はとくに冷えたぬか漬けを楽しむことで、食欲が増すかもしれません。
2.ぬか床を冷蔵庫に入れる注意点
昔は常温保存が当たり前だったぬか漬けですが、温暖化の影響もあり、ぬか床を冷蔵庫にいれないと痛んでしまうことも増えてきました。また、ぬか床を置くスペースも限られていることから、最初から冷蔵庫に入れることにより余分な場所を取らずにすみます。しかし、ぬか床を冷蔵庫に入れるには、ちょっとした工夫が必要になります。
2-1.ぬか床を熟成してから入れること
そもそもぬか床は、生ぬかに水や塩、昆布などを混ぜて発酵させたものです。美味しい漬物ができるまで発酵させるには、しっかりとかき混ぜたり、常温である程度保存させたりといった手間が掛かります。冷蔵庫の温度は基本3℃前後となっており、ぬか床が熟成する適温は20度前後なので、いきなり作り立てのぬか床を冷蔵庫に入れてしまうとぬか床が冷えすぎてしまい、まったく熟成しないただの土のようになってしまいます。
ぬか床を冷蔵庫に入れるには、まずは常温でぬか床を育て、しっかりと乳酸発酵してからにしましょう。毎日かき混ぜ、できれば1週間ほど育てたものを冷蔵保存するのが望ましいです。
2-2.漬かるまで時間が必要
冷蔵庫でぬか床を保存すると、温度が低いため乳酸菌の活動が減り、なかなか漬かりません。そのため、朝に野菜をぬか床に入れて夜に食べようとしても、まだ使っていないことがほとんどです。例えば、夏場の常温にあるぬか床なら、きゅうりのぬか漬け4時間ほどで漬かることも多いのですが、冷蔵庫の場合丸一日以上掛かることもあるでしょう。朝にぬか漬けを食べたいなら前日の朝に、夜に食べたいのなら前日に漬けておくなど、時間をかけることが必要です。
2-3.たまに常温に出して手入れをしよう
冷蔵庫で冷やされたぬか漬けの乳酸菌は、冷やされ続けることにより活動が低下し、数がだんだん減ってしまいます。乳酸菌が少なくなったぬか床は、酸味やうまみが減ることになり、結果的にしょっぱいだけのぬか漬けになってしまうでしょう。
そうならないように、たまにはぬか床を冷蔵庫から出して、常温でかき混ぜてあげましょう。後ほど詳しく説明しますが、常温の空気に触れさせることでぬか床が再生し、冷蔵庫の保存でも元気なぬか床をキープすることができます。
2-4.冷蔵庫のぬか床を再生しよう
では、冷蔵庫に保存されたぬか床の再生方法を詳しく紹介します。
まずは、冷蔵庫で冷やされたぬか床を常温に出します。その後ぬか床の中身すべてをボウルなどにだして、空気を含ませるように手で30回ほどしっかり混ぜましょう。ぬか床に空気が含まれ、水分がしっかりと出たのを確認したら、余分な水分をキッチンペーパーなどに含ませて状態を整えてあげます。その後は再び冷蔵庫に戻します。この作業をおよそ3日間続けると、冷やされて元気のなくなったぬか床が復活してきます。月に2回程度はこの作業を取り入れることにより、乳酸菌の活動を促し、冷蔵庫保存でも美味しいぬか漬けを食べることができるでしょう。
3.冷蔵庫でぬか漬けを上手に作るコツ
最後に、冷蔵庫でぬか漬けを作る際のちょっとしたコツを紹介します。常温に比べるとかき混ぜる手間がなく、簡単なイメージもありますが、あまりにも放っておくのは良くありません。
3-1.2日に1回はぬか床をかき混ぜよう
ぬか漬けの常温保存は毎日かき混ぜる必要がありますが、冷蔵庫の場合はその必要がありません。とはいえ、あまりにも放置しておくと乳酸菌の活動が低下し、漬け込んだ漬物もただのしょっぱい味になってしまいます。
冷蔵庫保存でも、なるべく2日に1回はぬか床をかき混ぜるようにしましょう。野菜を取り出すときに手入れをする感じで良いです。ちなみに、冷蔵庫保存であっても、もちろん毎日かき混ぜて構いません。「かき混ぜる=常温に触れる」ことになりますから、ぬか床の活性化につながります。
3-2.野菜は底にしずめて漬けよう
野菜を漬けこむときは、しっかりと容器の底に入れてあげましょう。こうすることにより、野菜を取り出したり漬け込んだりする際に、自然と手を奥まで入れることになり、かき混ぜることにもつながります。また、野菜を出し入れした後は、ぬか床の表面を平らにならします。これはぬか床内の空気をしっかりと抜くためです。平らにならした後、表面が水っぽくなっていたら水分が出過ぎてしまっているかもしれません。その場合、キッチンペーパーでぬか床の表面をしっかり押さえたり、ぬか床を足したりして水分を減らすことが大切です。
3-3.蓋をしっかりしめる、拭き取ることも大切
ぬか床の冷蔵庫は、臭いを周りに充満させないことにもなります。しかし、野菜を漬けこんだり取り出したりする際に、しっかりと蓋をしないと、冷蔵庫内にぬか床の臭いを充満させてしまうことにもなるでしょう。
また、蓋のまわりについたぬかは、その度にキッチンペーパーなどでしっかりと拭きとりましょう。余分なぬかが長期間ついていることにより、冷蔵庫保存であってもカビの発生につながったり、蓋がしめにくくなる原因になったりします。美味しく衛生面でも安心して食べられるよう、出し入れの際に拭き取りことや蓋をしっかりとしめることが大切です。
まとめ
昔はぬか床というと、生ぬかを用意したり、沸騰させた水を用意してぬか床とかき混ぜたりと、何かと手が掛かるものでした。しかし、今のぬか床の多くは、すでに発酵された状態で売っているものが多く、すぐに野菜を漬け込んで作ることもできます。そのうえ冷蔵庫で保存できるとあって、ますます手間の掛からない漬物となりました。
ぬか漬けは野菜の栄養をそのまま食べられるだけでなく、ぬか床に含まれているビタミン類や乳酸菌を摂取することにもなるため、サラダよりもはるかに効率よく栄養を取ることができます。冷蔵庫保存であればかき混ぜる手間も少なく、臭いに悩んだり場所をとったりすることもないため、初めてぬか漬けを作る人にもおすすめです。これをきっかけに、さっそくぬか漬け作りに挑戦してみましょう。
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