漬物や甘酒づくりに欠かせない「米麹」、その栄養と健康効果

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野菜やお肉の旨味をアップする塩麹、美容や健康に良いとされる甘酒。これらの素になるのは「麹菌」です。健康に良いとはよく聞くけれど、麹とは一体何で、何の種類が良いのでしょうか?ここでは米麹を中心に、あらためて麹のパワーについてお話しようと思います。

1.そもそも麹(こうじ)って何?

酒麹や米麹、甘酒やかす漬けなど、麹をつかった素材や料理はたくさんあります。しかし、そもそも麹が何か理解していない人も多いでしょう。ここからは、麹がどうやって作られているのか、その栄養などについて見ていきましょう。

1-1.麹とは麹菌が繁殖したもの

麹とは、麦やお米、酒粕などを蒸して、「麹菌(こうじきん)」というカビを繁殖させたものです。

カビと聞くとあまり良いイメージはないかもしれませんが、麹菌のカビは人にとって役立つ食べられる菌です。一般的なカビは毒素を出すため、人が摂取すると食中毒といったトラブルが発生します。しかし、麹菌は毒をつくるDNAが欠落しており、食べても人体に影響はありません。むしろ、摂取することで疲労回復効果や美白効果を得ることができる、ありがたいカビなのです。

1-2.米麹にはこんな健康効果がある

麹のなかでも甘酒などに用いられ、身近にあるのが「米麹」です。米麹は名前の通り、お米を発酵させてつくられた麹です。

米麹の酵素は、体内に取り込まれた栄養成分を消化・吸収しやすくしてくれます。米麹に含まれているアミラーゼは甘みとなるブトウ糖に分解し、プロテアーゼと呼ばれる栄養素は、タンパク質を旨みのもととなる「アミノ酸」に分解します。このアミノ酸は疲労回復効果が強く、米麹を取ることにより元気を取り戻すことができます。甘酒が飲む点滴といわれているのは、このアミノ酸効果が高いためです

また、米麹は栄養素の分解を促してくれるため、消化・吸収がスムーズになり、胃腸の働きを助ける整腸作用の効果が高いといわれています。そして、麹にはそもそもビタミンB1やB2、B6、ナイアシン、ビオチンなど肌の代謝をうながすビタミン類が含まれており、美肌効果が高いです。

1-3.米麹は和食の基本にも使える

米麹に限らず、基本的に麹は日本食に取り入れることで美味しくなります。

麹には2種類の酵素があり、たんぱく質を分解するプロテアーゼという酵素と、デンプン質を分解するアミラーゼという酵素があります。これが「うまみ」と「あまみ」を引き出してくれるのです。そのため、あらかじめ魚に漬け込んでおけば「粕漬け」に、肉や野菜に漬け込むことにより「肉料理のアクセント」や「漬物」として活用することができます。麹を使った料理を作ったことがない人でも、「とりあえず麹に食材をつけておく」というひと手間を加えるだけで、うまみと甘みが増した美味しい料理を作ることができます。

2.米麹の漬物を作ろう

<米麹はいろいろな料理に使うことができますが、なかでもおすすめなのは「漬物」に使う方法です。米麹を使った漬物はとても簡単で、野菜も家にあるものを漬け込んで構いません。ここでは米麹の漬物レシピを紹介します。

2-1.まずは漬物のための「塩麴」を作る

米麹を使った漬物は簡単ですが、漬物にするには塩を含んだ「塩麴」を作る必要があります。

【材料】
  • 米麹(米粒に見える乾燥したもの) 300g
  • 塩 80g
  • 水 400ml

【作り方】

1. ボウルに米麹と塩を入れてよく混ぜる

2.水を注ぎ、よく混ぜて塩を溶かす

3.2を保存容器に移し、ゆるく蓋をして1~2週間室温で寝かせます

4.毎日1回は中身をかき混ぜる、おかゆのような状態になったら出来上がり

どろどろのおかゆのようになれば完成です。できあがった塩麴は魚や肉はもちろん、野菜を漬けこむことにより美味しい漬物になります。ちなみに、塩が入っているので甘酒には使えません。

2-2.キュウリとニンジンの米麹漬物

【材料】

・きゅうり 1本
・人参 1本
・米麹(塩麴) 生のものを一握り程度
・ジップロック大 1枚

【作り方】
1.きゅうりは洗ってヘタを切り落とし、人参は皮をむいて縦半分にカットする
2.ジップロックに米麹をひとにぎりほど入れ、1を加えて全体になじませる
3.空気を抜いて口を閉じ、冷蔵庫で1~2日寝かせる
4.きゅうりと人参を取り出し、サッと水洗いして完成

米麹の漬物は、ただカットした野菜を漬けこむだけなので非常に簡単です。これで米麹の栄養を取れるだけでなく、漬物として発酵する乳酸菌も効率よくとることができるでしょう。

2-3.余った野菜で塩麴の浅漬け

材料

  • 大根、キュウリ、ニンジン、パプリカなどお好みの野菜 300g
  • 塩 小さじ1
  • 塩麴 大さじ1

作り方

  1. 野菜は1センチ角のサイコロ状にカットする
  2. 1をフリーザーバックに入れて塩を入れてよくもみ込む
  3. 軽く水を切ったら塩麴を入れてよくもむ
  4. お皿に移して完成

米麹を生の状態に戻し、塩を加えた塩麴を作っておけば、野菜の漬物は簡単にできます。紹介したこの浅漬けは、15分もあれば簡単にできるお手軽レシピです。彩の良い野菜を選べば、見た目も華やかになってお子さんも楽しみながら食べることができるでしょう。

3.米麹をいろいろな料理にアレンジしよう

米麹は漬物だけでなく、肉や魚、デザートとして甘酒にも使うことができます。まずはスーパーでの入手方法や、簡単な使用方法を改めて見ていきましょう。

3-1.売られている米麹は「乾燥麹」と「生麹」の2種類

はじめて米麹を買う人にとっては、見た目もどのようなものか分からず、どこで売っているのか分からないこともあるでしょう。

まず、米麹の多くはスーパーで売られています。漬物コーナー、甘酒コーナーと一緒に置かれていることが多いです。そもそも米麹は「乾燥麹」と「生麹」で売られており、それぞれの特徴は、乾燥麹の方がトータル量は多く、臭いがなくて日持ちします。ただ、生の状態に戻すひと手間が必要です。一方の生麹は冷蔵庫で3週間ほどしか持ちませんが、すぐに料理に使えるメリットがあります。手間をかけずすぐに使いたいという場合は、生の米麹を購入したほうが良いでしょう。

3-2.米麹と言えば甘酒

米麹を購入する人の多くは、甘酒をつくるためかもしれません。

米麹から作られた甘酒は飲む点滴と言われ、疲労回復効果と美容効果が高いとされています。同じく甘酒で有名なのが「酒粕」から作られているものです。しかし、酒粕の甘酒は砂糖が使われているので、ブトウ糖での甘みがある米麹の甘酒に比べると、疲労回復効果はそれほど期待できません。また、酒粕にはない「エルゴチオネイン」という成分が米麹には豊富に含まれています。これには抗酸化作用があり、肌の老化を防ぎ、紫外線を予防する働きがあるため、とくに女性にとっては嬉しい作用が期待できます。

3-3.手作りの味噌づくりにも挑戦しよう

米麹を代表するレシピは、甘酒のほかに「味噌」があります。乾燥米麹を用意すれば、あとは大豆とあら塩を用意するだけでシンプルな味噌づくりができます。3カ月ほど寝かせる必要はありますが、余計な添加物を含まない手作り味噌なら、日々の健康を大きくサポートしてくれるでしょう。
また、調味料売り場でよく見かける「塩麴」は、もともと米麹からできているものです。塩麴の作り方は先ほど紹介しましたが、塩の量を微調整することにより、お好みの塩麴を作ることができます。甘酒以外の料理に幅広く使えるため、初心者はまずはこの塩麴づくりに挑戦するのがおすすめです。

まとめ

米麹には、ビタミンB1、B2、B6といったビタミンB 群が豊富に含まれており、この他にも葉酸やパントテン酸、ナイアシンなどの疲労回復効果につながる栄養が豊富に含まれています。米麹で作られた甘酒は、夏バテ防止の栄養ドリンクとして、江戸時代では多くの庶民が飲んでいました。それほど米麹の栄養は古くから知られており、現在も飲む点滴として多くの芸能人などが愛飲しています。
米麹の甘酒も良いですが、そもそも甘酒が苦手な人もいるでしょう。そのような方には米麹を使った漬物がおすすめです。まずはベースとなる塩麴を作ってしまえば、漬物は余った野菜で簡単に作ることが可能です。米麹の漬物はシンプルでやさしい味わいのため、世代を問わず楽しむことができ、毎日の健康効果にも役立てることができるでしょう。

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